グループホームで虐待が起きている。通報したのに行政が動いてくれない。
相談内容
グループホームで働く支援員の方から、ご連絡をいただきました。同僚の職員が入居者に対して日常的に暴言を浴びせているのを目撃し、市の窓口に通報したものの、市からの連絡はなく、職場では以前と変わらない光景が続いていました。
相談者が困っていること
通報したのに行政が動かない、という無力感が相談者を追い詰めていました。さらに、通報したことで職場で孤立するのではないかという不安も抱えており、入居者のために動きたい気持ちと、自分の立場を守らなければならない現実の間で、一人苦しんでみえました。
弊所が考えたこと、行ったこと
都道府県に働きかける
グループホームへの立入調査や行政指導の権限は、市町村と都道府県の両方にあります。ただし、グループホームの運営が適正でないと判断された場合、市町村は都道府県知事に通知する義務があり、指定の取消を含むより強い権限は都道府県が持つ仕組みです。市がなかなか動かない場合、都道府県の障害福祉担当課に直接働きかけることが有効です。弊所は相談者とともに、都道府県への申し入れを検討しました。
書面で伝える
口頭での訴えは行政に残りにくい面があります。弊所は相談者とともに、目撃した事実を時系列で整理し、書面で申告しました。いつ、どこで、誰が、何をしたのかを具体的に記載することで、行政が動きやすい形に情報を整えました。
通報者保護を確認する
障害者虐待防止法では、通報を受けた市町村は通報者を特定できる情報を漏らしてはならず、通報を理由とした解雇その他の不利益な取り扱いも禁止されています。また、通報は職場への守秘義務違反にもなりません。法律上、通報者の身元は守られる仕組みです。
ただし、小規模なグループホームでは、虐待を知っている職員が限られているため、調査が入った時点で「誰が通報したか」が事実上わかってしまうことがあります。弊所はこの現実も含めて相談者と話し合い、万一職場で不利益な扱いを受けた場合に備えて、日時や内容を記録として残しておくように伝えました。
結果
都道府県の障害福祉担当課への書面による申し入れをきっかけに、施設の管理者や関係職員への聞き取り、記録書類の提出要求といった事実確認が行われました。
これから
「証拠がなければ通報できない」「通報しても無駄かもしれない」という思いから声を上げられずにいる方は少なくありません。障害者虐待防止法は、疑いの段階で通報できる制度です。最初の通報先が動かなくても、窓口を変える・書面にするという方法で状況が変わることがあります。福祉施設で働く方からのご相談も受け付けています。「これは虐待に当たるのか」という入口段階からお気軽にどうぞ。
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