ケアマネジャーとして担当している高齢者の車の運転に危険を感じています。
相談内容
※今回のご相談は、弊所の無料相談会にて伺ったものです。
・40代女性からのご相談。職業はケアマネジャー。
・今回のご相談は、相談者がケアマネジャーとして担当している80代の男性について。本人は脳梗塞を患い、左半身麻痺。要支援1で週2回デイサービスを利用している。一人暮らし。60代の長女と50代の次女がいる。
・本人は日常的に車の運転をしている。度々「また車をぶつけた」と事故を起こした話を聞いていた。先日、スーパーで駐車をする際に歩行者と接触事故を起こした。幸い歩行者は軽傷で、警察と自動車保険会社に連絡し事なきを得たようである。
・相談者は、今回の事故を含めた最近の本人の言動が、以前と違うと感じていたため認知症検査を勧めた。しかし、本人は「大丈夫」と言い、検査を受ける気はない様子。車の運転に関しても、免許の返納等は考えていないとのこと。
・長女と次女は相談者に協力的である。相談者が本人の支援についての会議を開く時も、必ず二人で出席される。
・相談者は長女と次女に、本人の車の運転が危険なこと、言動が以前と違うこと、認知症検査のことを話した。二人は「車の運転は本人の楽しみ、辞めたら生活ができなくなる」「事故には気を付けるように伝えた」とのことで、相談者の印象では現状を楽観的に考えているようである。
相談者が困っていること
・本人の車の運転が危険で心配している。本人の事も、周りの人の事も心配。
・自分(相談者)の立場で言うことではないが、本人に車の運転を辞めてほしいと思っている。
・認知症検査を受けた方がよいと感じている。
弊所が考えたこと、行ったこと
・本人の意向の確認。
相談者より「本人は車の運転を続けたい。車の運転は本人の生活の一部になっている。認知症検査を断るのは、面倒くさい、診断結果が怖い、診断結果によっては車の運転ができなくなる、といった思いがあるからではないか」。
・通院状況の確認。
相談者より「脳梗塞の再発予防と高血圧のため内科を受診している。担当医から認知症検査を勧めてもらうことは考えている」。
・自動車運転免許の次回更新年月の確認。
自動車運転免許の次回更新年月は来年11月。
・認知症の検査を行ってくれる病院を探しました。
・「車」の代替手段について情報提供をしました。
✓電動アシスト三輪自転車 ※本人がお住まいの地域の補助金制度を紹介しました。
✓シニアカー ※本人がお住まいの地域の補助金制度を紹介しました。
✓巡回カー・巡回バス
✓買い物サポートタクシー
✓介護保険サービス(買物代行)
✓介護事業者の外出支援サービス
✓バスなどの公共交通機関
など
・本人の「これから」について話し合う「サービス担当者会議」開催の提案をしました。
サービス担当者会議は「どうしていくか決める場所」のほか「情報共有の機会」でもあります。本人の現状を参加者全員が共有し、「相談者だけが知っている」ではなく「みんな知っている」という状況を作ることは、相談者の精神的負担を軽くしてくれる気がします。
・長女や次女の責任を明確にし、それを理解しておいてもらう必要性を伝えた。
✓民法714条
✓民法709条
✓自動車損害賠償保障法3条
このような法律を根拠に、万が一本人が自動車事故を起こした場合、長女や次女も責任を問われる可能性があります。
詳しくは、弊所note「「高齢者の車の運転」3つの法律で家族に責任の重さを理解してもらう」をご覧ください。https://note.com/futatu_j/n/ne221b4e8256b
結果
相談者より
・関係者間での情報共有を行うため、サービス担当者会議を開催する。
・長女や次女がどうするかは分からないが、万が一のことが起こった場合、二人にも責任が発生する可能性があることを伝えておく。
これから
今回の相談事例は、弊所の無料相談会で伺ったものです。相談内容について相談者(ケアマネジャー)は、厳密には「関係がない」立場にあります。しかし、サービスの提供だけしていればいい、というわけにもいかず、心の中に「動くもの」がある、という気持ちも分かる気がします。相談者には、健康で、細くとも長く、このお仕事に携わっていってほしいと思いました。
今回のように相談者が本人や家族ではなく、関係者の場合、費用を支払って弊所に調査を依頼するということは難しいと思います。調査を伴わないお問い合わせは、無料で対応しています。弊所の情報やノウハウをお役立てください。また、無料相談会も定期的に開催しておりますので、そちらも是非ご活用ください。
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