緊急連絡先を引き受けてくれる人がいないのでアパートの契約ができません。
相談内容
・市町村社会福祉協議会からのご相談。
・本人は50代男性で軽度の知的障害あり(障害者手帳を取得されている)。住まいは賃貸アパート、父親と二人暮らし。
・先日、父親が他界した。本人は持病の坐骨神経痛が悪化し勤務先の工場を退職、傷病手当金を受給している。
・父親の老齢年金と本人の給与で生活をしていた。今後は生活保護の申請を考えている。
・現在住んでいる賃貸アパートは生活保護の家賃補助の上限額を超えており、福祉事務所は転居が必要と考えている。本人も転居を希望されている。
・転居先を探しているが、どの物件仲介業者からも「緊急連絡先」を求められる。本人には緊急連絡先を引き受けてくれる人がいない。保証人については、保証人不要の物件や、必要であれば保証会社に入ってもらう予定。
賃貸契約をする場合は、保証人とは別に緊急連絡先が必要です。緊急連絡先に連絡が入るのは、契約者の家賃の滞納、死去、騒音などの近隣トラブル。ただし、法的な根拠はないので緊急連絡先に連絡が入ったとしても、その方が実際に動くことはほぼありません。
今回お話を伺った物件仲介業者の担当者より
相談者が困っていること
・本人に緊急連絡先を引き受けてくれる人がいないのでアパートの契約ができない。
弊所が考えたこと、行ったこと
・本人の意向の確認
生活保護を申請すること、転居することに本人は納得されているのかを確認した。また、転居するならどういった条件を希望されるのかも併せて確認した。
社会福祉協議会の担当者より「本人は、生活保護を申請すること、転居すること、いずれについても納得されている。転居先については「部屋にトイレと風呂があるといい」とのこと」
・緊急連絡先を身内に限らず、友人や知人、元同僚などに依頼できないかを確認した。
×
・UR賃貸住宅に連絡した。
UR都市機構の担当者より「保証人は不要としているが、緊急連絡先は必要です」。
・緊急連絡先を必要としない物件を探した。
・緊急連絡先を代行してくれる代行業者、請負業者を探した。
・緊急連絡先を引き受けてくれる弁護士、行政書士を探した。
この2つについては、note記事「緊急連絡先がない場合に頻繁に選択肢に上げられる4つの依頼先」に詳しく書いてあります。
https://note.com/futatu_j/n/n62b5acdb2a63
・福祉事務所、社会福祉協議会などで緊急連絡先を引き受けることはできないか。
×
結果
以下、3点を条件に賃貸契約をしてくれる物件が見つかった。
・保証会社に保証人として入ってもらうこと。
・生活保護の利用が開始された場合、家賃は福祉事務所から直接大家に支払われること。
・本人、大家、仲介業者、保証会社間で話し合いがつかない場合は、社会福祉協議会及び弊所が相談に乗ること。
本人は「ここでいい」とのことで、当該物件の賃貸契約を行った。
これから
アパートなどお部屋を借りる時に必要とされる「保証人」と「緊急連絡先」。保証人は保証会社に依頼するとして、緊急連絡先がなくて困っている方は多くみえます。いずれも法的に必ず必要ということではありませんが、契約をするうえで必要ということであれば仕方ありません。
弊所にも今回のように「緊急連絡先がなくて困っている」というご相談が寄せられます。これまでの相談者は、繋がりの薄い知人に依頼したり、代行業者の利用をされました。
緊急連絡先がない場合に「この方法が良いですよ」とは一概には言えません。本人のご事情をしっかりと考慮することが必要だと考えています。
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