特別養護老人ホームの入所審査の内容について知りたい。

相談内容
・老人保健施設(以下、老健)の生活相談員(30代女性)からのご相談。
・相談者が勤める老健をご利用中のAさん(90代女性)は、約一年前に特別養護老人ホーム(以下、特養)の入所申込を行った。
・一年経った現在も特養の入所の順番を待っている。
・相談者及びAさんのご家族は特養の相談員に「(Aさんは)待機リストの何番目か?」と確認をしてみたが、返答が曖昧で誤魔化されている感じがした。
・相談者は特養の入所審査について調べてみたが、担当者の聞き取り方法や価値観が審査結果に大きく影響する、という印象を持った。
事業者向けNAGOYAかいごネット(入所申込書様式1)https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/view/kaigo/company/shido/yusennyusyo.html
相談者が困っていること
Aさんの特養の審査が本当に公平に行われているのか疑問に感じます。そうした審査の内容を確認する手段はないのでしょうか。
弊所が考えたこと、行ったこと
相談者に、Aさんとご家族の意向を確認していただきました。
相談者より。「Aさんとご家族は少しでも早い特養への入所を希望されており、可能であれば審査の内容を知りたいとおっしゃっている」。
相談者に「※特別養護老人ホーム優先入所指針」の「入所希望者等への情報開示」についての説明を行いました。その内容を根拠に、特養の相談員に待機リストの順位等、情報開示の依頼をしていただきました。※「入所コーディネートマニュアル」など地域によって名称は異なります。
入所希望者等への情報開示
入所希望者等から、※入所検討委員会の結果について照会があった場合、施設長はその結果について説明を行い、十分理解を得るよう努めるものとする。その場合、当該入所希望者に関して入所検討委員会に提出した資料については、必要に応じて本人又は申込者に開示するものとする。
※入所検討委員会・・特養への入所希望者に対して施設側が入居の可否判断並びに入居の優先順位を決める会議
令和6年版 名古屋市特別養護老人ホーム優先入所指針https://www.kaigo-wel.city.nagoya.jp/_files/00187251/nagoya_nyusho.pdf
結果
特養はAさんのご家族に、待機リストの順位などの情報を開示しました。
追記。上記の情報開示から約半年後にAさんは特養に入居することができました。
これから
特養は(施設内部の)状況により入所者を選ぶことができます。
施設の状況による入所者決定の調整
入所順位は上記4及び5により決定するが、施設における適切な入所者処遇と適切な施設運営を図るため、次の項目を勘案して入所者の決定を調整することができるものとする。この場合、入所直後の委員会において報告を行うとともに議事録に登載する。① 性別② 施設の特性(認知症専用床、その他)③ 医療行為を必要とする場合における施設の受入体制
令和6年版 名古屋市特別養護老人ホーム優先入所指針より
しかしそれは、入居者の利益や健全な施設運営に繋がる正式な理由がある場合に限ります。某特養では、施設長が入所申込者の「家族が嫌い」という理由で、待機リストの順位を操作していました。※「家族が嫌い」という理由について入所申込者に説明をした上で、書類に残すことができるということであれば問題はありません。
入所申込者のご事情が重要であるように、施設を運営していくこともまた重要です。しかし、そこには「開示ができる正当な理由」が必要です。誰かの価値観や感情によって、他の誰かが不当な不利益を被ることがあってはいけません。弊所といたしまして、ご協力できることがあればお気軽にご相談ください。
さいごに
今回の事例の中の特養が、最初の段階で情報開示をしなかった理由は不明です。弊所といたしましては、その理由自体は重要ではなく、情報開示の依頼があった時点でそれがなされるべきであったと感じています。
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