退職後も傷病手当金をもらいたいのに会社に申請書を書いてもらえませんでした。

2026年8月1日

相談内容

ご相談にいらしたのは40代の女性です。体調を崩して休職したのち退職を決意されましたが、退職後も傷病手当金の継続受給を希望していました。ところが在職していた会社に申請書への記入をお願いしたところ、「有給休暇で休んでいたのだから傷病手当金は出ない、だから申請書は書けない」という説明を受けたとのことでした。会社が顧問契約している社会保険労務士に確認したところ、そちらでも同様の見解が示されたそうです。相談者はインターネットで情報を探すうちに弊所のホームページにたどり着き、「本当に申請ができないのか、他に方法はないのか」を確かめたいとのことでご連絡くださいました。

 

 

 

相談者が困っていること

相談者は、会社側から示された説明が制度上正しいのかどうか判断がつかず、かといって既に退職した会社に対して強く意見を述べることにも抵抗を感じていました。また、傷病手当金の申請書には事業主が証明する欄が設けられており、その記入を会社が拒めば申請そのものを前に進めることができません。今後の生活費の見通しが立たないまま時間だけが過ぎていくことに、大きな不安を抱えていらっしゃいました。

 

 

 

弊所が考えたこと、行ったこと

 

支給の可否と証明義務は別の話

まず整理したのは、会社が申請書に記入する内容と、傷病手当金が実際に支給されるかどうかの判断は、そもそも別の話だという点です。事業主が記入するのは「勤務状況」と「賃金支払い状況」という客観的な事実にすぎません。有給休暇を取得していた期間に傷病手当金が支給されるかどうかを判断するのは、協会けんぽなどの保険者です。会社や、会社が依頼している社会保険労務士が支給の可否を決める立場にはありません。つまり「有給だから支給されない」という理屈と、「だから申請書自体を書かない」という対応は、本来つながらないものでした。

 

 

相談者名義の手紙の作成をサポート

このことを会社に伝える方法として、弊所では相談者ご本人名義の手紙の作成をサポートしました。会社の説明が誤っているという指摘の形にはせず、なぜ申請書の記入をお願いしたいのか、その事情と理由を丁寧に説明し、低姿勢でお願いする内容になるよう、相談者と一緒に文面を整えました。既に退職しており今後も付き合いが続くわけではない相手だからこそ、あえて角の立たない伝え方を心がけました。

 

 

同封書類の検討

手紙に何を同封するかについても慎重に検討しました。主治医の記入済みの申請書を同封するかどうかは、相談者にリスクとメリットの両方を丁寧に説明したうえで検討し、最終的には同封することにしました。会社が記入する欄以外はすべて整っている状態を示すことで、申請の話が具体的で本気であることが伝わりやすくなると考えたためです。一方、当初検討していた記入例の同封は、会社に対して記入の仕方を指示しているような印象を与えかねないと判断し、見送ることにしました。

 

 

 

結果

手紙をお送りしたところ、会社が申請書の事業主証明欄を記入し、返送してくださいました。相談者はこれを協会けんぽに提出し、無事受理されました。

 

 

 

これから

申請が受理された後も、失業給付の受給期間延長の手続きや、健康保険の切り替え、離職理由コードの確認など、続けて必要になる手続きについてご案内しました。社会保障制度は複雑で、会社や社会保険労務士であっても対応を誤ることがあります。弊所では制度の正確な知識をもとに、相談者が使える制度を見つけ、実際に使えるようになるまでお手伝いしています。同じような状況でお困りの方は、一人で抱え込まずにご相談ください。

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