高齢者の車の運転に悩む家族
高齢の母親に車の運転を辞めてほしい
相談内容
・50代女性からのご相談。
・80代の母親と50代の兄の二人暮らし。相談者は結婚しており別世帯。
・母親が車を運転していてガードレールにぶつかる事故を起こした。車は廃車になった。運転中に「目の前がパチパチした」と母親が言っていた。これまでも度々事故を起こしている。今回の事故が車の運転を辞める機会になると思った。
・廃車になる事故を起こした後、母親が相談者や兄に内緒で中古車を購入した。
・母親は要支援2の判定を受けており、週1回ヘルパーさんに来てもらっている。
・母親に免許の返納や病院での検査(認知症を含む)を勧めても応じてくれない。
相談者が困っていること
・母親に車の運転を辞めてほしい。
・勝手に車を買ったり、免許の返納や病院での検査を断ったり、どうやったら母親に車の運転を辞めてもらえるのか分からない。
・このまま母親が車の運転を続けていると、人身事故を起こしてしまうのではないかと不安である。
弊所が考えたこと、行ったこと
・母親の担当ケアマネジャーに連絡しました。
担当ケアマネジャーより「ご家族から本人(母親)の車の運転のことは聞いている。車の運転を辞めるように話はしているが聞き入れてくれない」。
・母親の担当医(内科)に連絡をしました。
担当医より「本人が事故を起こしたことは知っている。世間話程度に「運転は控えた方がいい」という話はした。認知症の検査ができる病院への紹介状は書く」。
・本人の意向の確認
相談者に同席してもらい母親と話をしました。母親は「事故はたまたま。車の運転はまだできる。車の運転を辞めると買い物や友達に会いに行けなくなる」。
・相談者の兄と話したいと伝えました。
相談者より「兄は家族のことには無関心。協力は仰げない」。
・自動車運転免許の次回更新年月を確認しました。
自動車運転免許の次回更新年月は来年8月。
・母親の友人と話したいと伝えました。
諸事情により話はできませんでした。
・母親が利用しているヘルパー事業所と話したいと伝えました。
ヘルパー事業所の管理者より「折を見て認知症検査のこと、今のままでは車の運転が危ないことを話してみます」。
・認知症の検査を行ってくれる病院を探しました。
結果
弊所の印象として担当医が協力的であったため、認知症検査について担当医から母親に話をしてもらってはどうかと相談者に提案しました。相談者は了承され、本人にも話されました。
↓
弊所より担当医へ連絡、母親へ認知症検査を勧めてもらえないかと依頼しました。担当医より「結果は保証できないが話はしてみる」。
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母親の内科受診に相談者が付き添われました。
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相談者から弊所に連絡があり「担当医から母親に認知症検査について話をしてもらったが、母親は検査を受けないと言っている」とのこと。
これから
相談者に道路交通法101条の6「医師による届出制度」について説明をしました。当該制度について検討していただき、必要な時はまた協力をすることを伝えました。
※この制度を利用する場合、該当する一定の病気等に「自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈する病気」とあります。母親、相談者、担当医の了承が得られれば、認知症という診断結果がなくとも、担当医の診断結果に基づいて当該制度の利用ができる可能性があります。
相談者に免許更新時の「質問票」制度について説明をしました。
道路交通法101条の6「医師による届出制度」、免許更新時の「質問票」について、詳しくは弊所note「高齢なのに車の運転を続ける人がいて困っています。あなたがその人の家族ver.」をご覧ください。
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