普通学級になじめない。支援級に移るべきか。

2026年3月9日

相談内容

40代のお母さんからのご相談です。小学3年生の息子さんが自閉症スペクトラム(ASD)の診断を受けており、普通学級に在籍しています。授業中の一斉指示が入りにくく、グループ活動では孤立しがちで、休み時間も一人で過ごすことが多い状態でした。担任や特別支援教育コーディネーター、教育委員会の担当者から、面談のたびに「支援学級のほうが本人に合っているかもしれない」という言葉が繰り返されていました。お母さんは強い抵抗感を抱えたまま、弊所のホームページを見てご相談に来られました。

 

 

 

 

相談者が困っていること

支援学級に移ることが本当に息子さんのためになるのか判断できない。学校や教育委員会が移ることを勧めているが、それが息子さんのためなのか、学校側の都合なのか区別できない。

 

 

 

 

弊所が考えたこと、行ったこと

 

・まず、お母さんの言葉を整理しました。

ご相談の冒頭、お母さんはこうおっしゃいました。「普通学級にいたほうが、将来の選択肢が広がるんじゃないかと思って」。その気持ちは、多くのお母さんが抱える不安と重なるものでした。ただ、そのままにしておくと、判断の中心に「子どもの今」ではなく「親の恐れ」が置かれてしまいます。弊所ではまず、その整理を一緒に行いました。

 

 

・「学校の都合」への疑問を整理しました。

「学校が移ってほしいだけなんじゃないか」というお母さんの不信感は、的外れではありません。支援が必要な子どもへの対応に人手が追いつかず、転籍が学校側の負担軽減につながるケースも現実にあります。弊所ではそのことを隠さずお伝えしました。そのうえで、「学校の都合」と「息子さんの利益」が重なる可能性もあることをお話しました。支援学級は1学級8名以内で、個別の教育計画が作成されます。一斉指示ではなく個別の声かけが中心となり、息子さんが抱えている「わからないまま時間が過ぎる」という状況が変わりうることを具体的に整理しました。

 

 

・転籍のプロセスを一緒に確認しました。

普通学級から支援学級への転籍は、保護者が担任または特別支援教育コーディネーターに申し出ることで手続きが始まります。その後、校長・教頭・コーディネーター・担任らによる校内委員会が開かれ、学校が「転籍が望ましい」と判断すれば市区町村の教育委員会に上申されます。教育委員会での審議を経て最終決定となり、教育委員会の担当者が実際に子どもの様子を観察しに来ることもあります。決定後の転籍は、多くの場合、翌年度の4月からとなります。お母さんはこのプロセスをご存じありませんでした。「翌日から別のクラスになると思っていた」とおっしゃり、丁寧にご説明するうちに表情が和らいでいきました。

 

 

・決断はお母さん自身に、という思いで関わりました。

弊所は「移ったほうがいい」とも「移らないほうがいい」とも申しませんでした。判断に必要な情報が揃っているか、感情の整理がついているかを丁寧に確認し続けました。お母さんは最終的に、「息子が今楽しくないのなら、楽しくなれる場所に移すことが親の仕事だと思えてきた」とおっしゃり、最後は、担任に話しに行くことをご自身で決められました。

 

 

 

 

結果

翌年度4月より自閉症・情緒障害特別支援学級へ移籍しました。転籍後、息子さんは「今の学校のほうが疲れない」と話しているとのことでした。

 

 

 

 

これから

今回の支援で意識したのは、手続きの案内よりも先に、お母さんの感情の置き場を作ることでした。転籍への抵抗感は、子どもへの愛情と表裏一体であることが多いです。それを否定せず、ただ整理をお手伝いすることで、お母さんは自分の足で決断へ向かうことができました。支援学級に移ることは、「普通」から外れることではありません。その子が育ちやすい場所を選ぶことです。今後、進学や就労に向けて新たな判断が必要になる場面が来るかもしれません。困ったことがあれば、またいつでもご相談いただけることをお伝えしました。

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