退職後、生活費がなくて困っています。
ご相談内容
・Aさん(30代女性)からのご相談。
・2ヶ月前に適応障害で退職。現在も通院治療中。
・退職後は収入がなく、貯金を切り崩して生活している。
・「生活保護しかないでしょうか。でも体調が回復したら働きたい。何か他に使える制度はありませんか」。
相談者が困っていること
・収入がなく、貯金が月に15万円ずつ減っている。
・心療内科の通院費と薬代で月1万円かかる。
・実家には頼れない。
・体調は回復傾向で、数ヶ月後には就労可能な見込み。
・生活保護の利用に抵抗がある。
・「あと3ヶ月で貯金が尽きます」とのこと。
弊所が考えたこと、行ったこと
最初に検討した制度
・生活保護:Aさんの希望に沿わない。
・障害年金:適応障害は原則として障害年金の対象外。
生活保護以外に使える制度がないか、さらに検討を続けました。
退職前の状況を詳しく確認
Aさんに退職前の状況を詳しく聞きました。
・勤続年数:5年間、同じ会社で勤務。
・退職前の1週間(7日間)は体調が悪くて有給休暇で休んでいた。
・退職日も有給消化で休んでいた。
傷病手当金について健康保険協会に確認
健康保険協会に「退職後でも傷病手当金は受給できるのか」を確認しました。
健康保険協会「退職後も傷病手当金を受給できる場合があります。条件は以下の通りです」。
(1)退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していたこと。
(2)資格喪失時に傷病手当金を受給しているか、受給条件を満たしていること。
受給条件
・業務外の病気で療養中であること。
・労務不能であること。
・連続3日間の待機期間を満たしていること。
・報酬を受けていないこと。
・退職日に出勤していないこと。
Aさんのケースを確認すると
・5年間同じ会社で働いていた(1年以上加入の条件を満たす)。
・退職前の1週間(7日間)休んでいた(待機3日間の条件を満たす)。
・退職日は有給消化で休んでいた(出勤していない)。
すべての条件を満たしていました。
また、「傷病手当金の時効は支給対象期間の翌日から2年です。退職から2ヶ月であれば問題ありません」とのことでした。
申請手続き
Aさんは退職した会社との関係が良くなく、連絡を躊躇していました。
Aさんに申請に必要な書類や手順について説明し、会社宛の手紙の文面を一緒に考えました。事業主の証明を依頼する文章を作成しました。
医師が書く支給申請書については、最初の内容では「労務不能」の程度が不明確でした。Aさんに同行して主治医を訪問し、具体的な症状や日常生活への影響、医学的根拠を補足してもらいました。
必要書類を揃えて健康保険協会に申請しました。
医療費負担を減らす制度の検討
市区町村の障害福祉課に「自立支援医療制度(精神通院医療)」について確認しました。
障害福祉課「この制度を利用すると、心療内科の通院にかかる医療費の自己負担が3割から1割に軽減されます。さらに所得に応じて月額上限額が設定されます。ただし、傷病手当金は収入としてみなされるため、傷病手当金を受給する場合、月額上限額は5,000円になる可能性が高いです」。
Aさんの場合、医療費が月1万円から月5,000円程度に減ることがわかりました。必要書類を揃えて申請しました。
結果
傷病手当金は申請から約3週間で審査が通りました。Aさんは退職後の2ヶ月分と、その後の療養期間を含めて、合計4ヶ月分の傷病手当金(約80万円)を受給することができました。
自立支援医療も申請から約1ヶ月で認定され、医療費の自己負担が月1万円から月5,000円に減りました。
これにより、治療に専念する時間的・経済的余裕ができ、貯金を温存し、焦らず就職活動の準備ができました。
現在、Aさんは体調も回復し、新しい職場で働き始めています。
さいごに
退職に関して、以下のようなご相談が弊所に寄せられています。
・退職後に使える制度がわからない。
・傷病手当金という制度を知らなかった。
・退職前に有給休暇を消化できず、体調不良のまま退職日を迎えてしまった。
・医療費の負担が重い。
今回のケースで重要なポイントは「退職日に出勤していないこと」でした。退職日に出勤してしまうと、その後は傷病手当金を受給できなくなります。
私自身、これまでの人生で退職の際には大いに悩み、理不尽な目にもたくさんあってきました。ご相談に乗ります。お気軽にお問い合わせください。
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